━━━━━トライデント。おれはそれがほしくてやまない。 それがあれば…、館はおろか海全体を陸の者達から守ることが、きっと出来るだろう…。 …最後に館を出た日は、一体いつだろうか。 あれから、トライデントを求めて長く旅をしているが…、館の皆は大丈夫だろうか。 いつもおれが館の皆を支えてくれているから、という言葉に甘えているのはいいが、 自分がほしいモノを手に入れるのは、こうも時間のかかるものなのだろうか…。 沢山の世界を、場所を、国を見てきた。 おれが渡ってきた世界の数は、計り知れないだろう。…おれ自身そう思う。 しかし、それでも結局トライデントの手掛かりは掴めなかった。 それについてわかったことは、先程述べたことのみだった。 見つからなければ、手掛かりもつかめない。 それなら、もういっそのこと素材と職人を集めて造ってもらった方が早いのでは? 探しても見つからないものを、人の手で勝手に生み出していいものかという考えもある。 最近、海の世界に陸からの侵入者が増えてきているという。 あの2人のように、水陸両方を行き来する必要なんて、どこにもないはずだ。 なのに、陸の者達は海の者にも手を出死始めている。 そうだな…。食生活を例に話してみようか。 例えば、植物と動物を食材にして、バランスよく食べているだろう? 根っこ、葉、実、肉、魚、油…。他には何があったかな。 海の者が何かを…誰かを食する際には陸のモノを必要とはしないが、 陸の者は…川や湖はおろか海のモノにも手を出す。 確かに海は陸に比べて広い。けれど、それは領域を侵してまでしていいことではないと思う。 多数の食材が求められる純粋な人間なら、そうする理由はまだわかる。 本来その必要のない、人間と生物の混同した種族の者がそれを行うならば、…暴食行為だ。 生存本能から行っていることなのかもしれないけれど、 広く、深い世界で過ごす海の者達からしてみれば、それは変な話だ。 なぜ、領域を侵してまで生きようとするのか。 かくいうおれもその1人だけど、海の者は陸の者にそういう偏見を持っているんだ。 陸の者は陸へ帰れと言ったら、それはおれ達海の者の傲慢とも言えるだろう。 それでも…、領域を侵すということは不法侵入と同じことだ。 ………陸を渡っていながら、おれは何を言っているんだろう。 ただ、それを自覚しているのといないのとでは、同じ行為をしても雲泥の差だろう………。 だからしても構わないというわけではないけれど。 おれは勝手を承知で、今は…陸の世界にある武器屋を巡っている。 当然、彼等がトライデントのことを知っているとは限らない。 頼るのにいい気分ではないんだけれど…、海の…水の世界にもただ1つ欠点がある。 それは…、水の中では高熱を利用した製鉄や鍛冶が出来ないということだ。 水の世界の者達が金属を必要とした際には、陸から捨てられた物を再利用する。 陸の者が捨てられたものを、水の者が使うというのはよくある話だけど…。 海では、端整な武器を造ることが出来ない。 そのため、おれは陸の世界も旅しているというわけだ。 そうやって各地を旅している際にたどり着いたのが、ある一軒家だった。 よく観察してみると、窓の向こうに鍛冶道具が見えたので、 おれはこの家も武器を取り扱っているのだろうと、周囲を探る。 「………誰も、人はいないのか?」 建物の周辺の道路を、ぐるりと回ってみても人が住んでいる様子はなく、 ゴーストハウスのようだった。 警戒心を強めて家の内部を見ようとしても…、見えなかった。 陸の者は陸。水の者は水。本来ならそうであるはずだ。 しかし、それが崩れてからは…何もかもが狂い、崩れ始めた。 自分の帰るべき世界があるというのに、陸の者はなぜ…大した理由もなく異世界に入るのか? 陸の者が海の生物を求めるようになってからバランスが崩れ、海の者が苦しむようになった。 おれがトライデントを求めるのは、それを止めるため。 そして………、海の者を守るということは………。 ………ゴーストハウスだと思われた家の周辺に、墓場があった。 おれはそこに入り込み、1人1人の墓標を眺める。 陸の者達は、土地を削って…こうやって墓を密集させるのか。 なぜそうする必要があるのだろうか? 理解しがたいと考えながら、おれは墓場を探ってみた。 すると、その建物の裏口らしき扉を見つけた。 そして、その扉は………、 ━━━━━開いている。 …に過ごしている者でありながらも、 扉を閉めて自分の住居を守らないというのは、一体どういうことだろうか。 陸の者は水の者に比べ、他者に侵入を安易に許さない固い者が多いというのに…。 それが気になったおれは、入ることはせずにその扉に近づく。 周囲の人の様子を目で確認してから、おれは声をかける。 「どなたか、いませんか!?」 不自然に開いているドアに向かって、おれは大声でそう言った。 大声を出してから、暫くの間待ってみる。 すると、姿を現したのは━━━━━。 「━━━━━やぁ!こんにちは!お兄さん!」 「━━━━━………っ!!?」 白い髪に白い服。そしておれが見てきた世界では見かけない装飾。 おれが声をかけると姿を現したのは、純人間…と思われる少年だった。 ただ、その少年はドアから姿を現したのではない。 おれが声をかけた方向とは反対になる方向から、突然姿を現したんだ。 やってきたおれを、少年はにこにこしながら見つめる。 「かっこいいお兄さんだね!どこから来たの?」 「…そうですね。おれはここから遠いところから来ました。」 …自分が海から来たことは、隠しておく。 はぐらかしを含めた返答をすると、少年は困った様子で子供のように騒ぐ。 「もー!それならちゃんと地名とかあげなよ!意地悪ー!」 「すいませんね。見ず知らずの方に、自分の出身地を具体的にあげられるほど、  おれもガードがないわけではありませんから。」 「む、むぅ…。そういう言い方されるとやだなぁ…。そんなに警戒しなくていいのに。  見ず知らずのお兄さんのことなんて、教えてもらっても覚えてるわけないじゃん!  もし覚えてるとしても、他人の個人情報は守るよ!」 「それは、おれとあなたは親しい間柄であるなら、のお話でしょう?  今この場で出会ったばかりの方に、それを鵜呑みにしてお教えする程ではありませんよ。」 「つれないお兄さんだなぁ…。」 おれのことを知りたがる少年に、自分のことは教えまいと固く口を閉ざした。 これが、おれのことを知っていて、尚且つそれなりに親しいあの大蛇と蛙ならともかく、 どんな者なのかを知らないこの少年に、教えるわけにはいかないんだ。 何を言っても、教える気のないおれを見て、少年がガックリと肩を落とす。 その少年を警戒しながら、今度はおれが何者なのかを知るべく、問う。 「なら、そういうあなたは誰でしょう?この家のお方ですか?」 「あっ、僕?うん、そうだよ!僕この家に住んでるんだ!」 「それは本当ですか?それにしては…、あまりふさわしくない服装ですし、  あなたはこの扉から出てきたのでなく、突然姿を現しました。」 「あまりふさわしくない服装?どういうこと?」 「この家は武器屋。武器を取り扱う者というのは、重装備を強いられます。  刃の鋭く尖ったものや、重い盾を持つためです。  あまりに軽装ですと、それらを運ぶ際に自身が傷を負いますからね。  それに、白い服となればそれによる汚れも目立ちます。」 「うっ…、た、確かにそうかもしれないけど…。」 「あなたが本当に武器屋の方で、鍛冶場に入るとなれば、  あなたのその白い髪と服は、今頃真っ黒になっていることでしょう。」 「う〜ん…。」 扉といい、突然姿を現したこの少年といい、何かが怪しい。 少年の言うことに何らかの理由をつけることで、少年の台詞を退ける。 それを重ねることで、観念して本当のことを話すことだろう。 嘘はどこかで絶対にバレる。…いずれはそうなるというのに。 言っていることとその姿の矛盾を付き、この少年が本当のことを話すのを待つ。 警戒を冷静さを崩さず、おれが言うのを聞いて、少年は観念したのか騒ぐようにこう言う。 「………もうっ!!鋭いなぁお兄さんはっ!!  わかったよ!!僕はこの家の人ではある、だけど僕は武器屋の人じゃない!!  僕は、この家の地下にいる絵描きの友達さっ!!」 これ以上、ごまかすことが出来ないことの現れなのか、ムキになった様子で話し出した。 …一先ず、この台詞が本当のことだろう。 「…この家の地下。友達が絵描きであること。  地下に行けば、武器屋とは別の空間がおありなのですか?」 「そうだよぅ!武器屋は一階!地下は僕達の美術室みたいなもの!  そんなに疑うんだったら、お兄さんそこに連れてくよっ!」 「あぁ、わかりましたよ。その様子だと、本当のことを言ってくれているのでしょう。  ただ…、嘘はいけませんよ。いずれはバレますからね。」 「はぁ…、やっと信じてくれた…。」 あまりにも少年が感情を露わにするので、おれも一度落ち着かせようと同意を示した。 溜まっていた鬱憤を爆発させるような両腕の振り回し。 声を荒げて言ったこれらの台詞には、疑いの余地はないからな。 ………とりあえず、この少年がいうように、おれは地下へと行くことになった。 どうやら、少年はおれに事実を見せないと気が済まないらしく、 腕を引っ張られて強引に連れていかれた。 「お兄さん、観察力すごいんだねぇ。最初に言ったこと、全部嘘だって見抜くなんて。」 「あなたの上に向けた視線が、その場しのぎで言おうと考えながら言っていることに、違和感を覚えました。  本当に伝えたいことがあるのなら、相手を真っすぐに見て話すものです。」 「………ある意味、怖いなぁ。仕草だけで気持ちを読み取ろうだなんて。」 「すいませんね。」 呆れながらいう少年に、おれは困ったように笑った。 『とりひき』 「━━━━━………あなたは、いつからこの場所に住み始めたのですか?」 「んー?つい最近だよ!」 腕を引っ張られて強引に連れていかれたその先にあったのは、沢山の絵画やスケッチだった。 おれは少年に連れられるままそれらの飾られている部屋を抜け、奥へと行く。 「これらの絵を、あなたのお友達がお描きに?」 「そうだよ!すごいでしょ!彼女は絵が上手いんだ!」 警戒心を残しつつ、観察をしながら問うと、少年は自慢げに答えた。 小さいものから大きなものまで、白黒のものからカラーのものまでと、飾られている絵の幅は広い。 確かに、これだけの量と発想があるなら、絵描きとしての実力は相当なものだろう。 少年が笑って話した後、ふとおれの方を向いて聞く。 「ねぇ、そういえばお兄さんは、なんでこの街にやってきたの?」 「この街にやってきた理由ですか?」 …自分の目的をバラされた際に考えられることとしては、ライバルが増えるということかな…。 個人情報のように、自分のことそのものを直接教えるわけではないから、 目的くらいは、話しても大丈夫だろう。…というか、 各地でそのことを聞きながら話してきている、広まる可能性があるから教えない、というのは今更なことだ。 もしそれが本当に手に入るなら…、とおれは話すことにした。 「そうですね…。おれは、この世界にかつて存在していたある武器を探しています。」 「武器を探してる?あー!成程、それであの家に来たんだね!」 「はい。…その武器はトライデントという名前です。」 「トライデント…。」 この少年が、ある程度のことを正直に話したのと同様に、 俺も自分の目的をある程度話した。 すると、トライデントという名前を聞き、少年は右親指を自分の顎に当て、少し俯く。 …もしかして、何か知っているのだろうか? この名前を口にして教えたとき、誰1人と答えることが出来なかったものだ…。 そのまま暫く経つと、少年が「あっ。」と声をあげる。 「そ…、それなら心当たりあるよ!で…、名前以外にわかることは?」 「いえ、特には…。強いていうなら、その武器が海に関するものだということくらい…。」 「海に関するもの…!それだったら、あれのことじゃないかなぁ?」 「えっ!?ご存じなんですか!?」 「んー…。」 …少年が心当たりのあると言えば、疑問を口にしながらもまた考え込んだ。 その妙な間に不自然さを内心不自然さを感じつつも、おれは少年の次の台詞を待つことにする。 何かを知っているのなら、それを聞くだけでも価値はあるだろう…。 「お兄さん。突然で悪いけど、そういうことなら僕より友達の方が詳しいよ!  ここをずーっと奥にいくといるから、会いにいこう!」 「あなたのお友達…絵描きさんが?」 「うん!きっと彼女ならお兄さんの願いに応えてくれるよ!  ほら、騙されたつもりで行ってみて行ってみて!」 少年が笑顔でそういうと、おれの背中を両手で押してきた。 …そこまでして行かせたいものなのだろうか。少年の行動に強引さを覚えた。 けれど、おれはおれでこの少年にトライデントのことを聞いてしまった。 おれが自分で引き起こしてしまった結果だ…。 結局、おれは少年に連れていかれるまま、友達だという絵描きに会うことになった。 ………が、絵描きがいるという部屋に入った直後、わずかな腐敗臭が漂った。 強烈まではいかなくとも鼻をついたそれに、おれは思わず顔をしかめる。 すると、隣にいた少年が「失礼だよー!」と怒る。 そう言われて、おれは部屋の奥で1人黙々と絵を描いている少女を方へ行くよう言われた。 腐敗臭の原因が何なのかは、その少女を見てすぐにわかった。 …少女の姿は、血色のいい少年とは真逆の…血の気が無い青い肌。 それもそのはず、少女の身体はよく観察すると腐敗していたのだ。 その様は、もうこの世界には存在しないと言われているアンデッドだった。 「彼女、死人だし身体が腐ってるけど悪い人じゃないよ!さ、行こ!」 …この少年は、少女の腐敗臭をなんとも思わないのだろうか?慣れているのか? おれの腕を引っ張りながら、もう片方の腕を少女に向かって振る。 「ネークラー!!」 聞いたことのない、だが誰の名前なのかはすぐにわかった。 ネクラと呼ばれた少女は、少年の明るい声に反応し、絵を描く作業を一旦止めた。 少年が帰ってきたことに気付くと椅子から立ち上がり、微笑する。 「あら…、お帰り幻無…。」 ネクラさんが挨拶を返すと、少年も「えへへっ。」と笑った。 幻無(げんむ)という名は…おれがこれまで話したこの少年のことだろう。 幻無さんがおれを引っ張りながらも、ネクラの方へ駆け寄る。 「ネクラッ!絵を描いてる途中で悪いんだけどさー。」 「何かしら…?」 「帰ってくる前、このお兄さんに会ってさ。  いろいろ話してみたら、このお兄さんはトライデントっていう武器探してるんだって!  ネクラなら、それに思い当たるような物知ってるんじゃないかなって話してたんだ!」 「あら…、そうだったの…。」 幻無さんがネクラさんに事情を話すと、ネクラさんがおれに近づく。 身体に留まらず、顔も腐っていることが、近づいてみればよくわかる。 ネクラさんがおれの方をマジマジと見ると、クスリと笑って話す。 「…初めまして、ね。貴方…名前はなんて言うの?」 …そういえば、おれはまだ名前を名乗っていなかったな。 今後、この2人と何らかのやりとりを行うなら、名乗っていくべきだろう。 「そうですね。おれは………━━━━━プロンジェといいます。」 そう…、この彼こそが深海の主が待ち焦がれている人物。 彼…プロンジェは、これから起こすことを承知のうえで…幻無とネクラに名乗った。 名乗った後、プロンジェはネクラの方を見て用件を話す。 しかし、その表情に心を許したという笑みはまだない。 「…ネクラさんは、トライデントという武器をご存じでしょうか?」 「そうね…。貴方が本当に求めてるものとは違うかもしれないわ…。  トライデントという名前を付けられた武器は、少ないようで沢山あるの…。」 「そうなのですか?」 「えぇ…。…他に、知ってることはないかしら?  それがわかれば、有効的な判断材料にはなるわ…。」 「あいにく、名前と関係している事柄が海、その2つ以外のことはわかりかねます。」 「そう…。」 プロンジェが正直に答えると、ネクラも小さく頷いて両腕を組み、考え始めた。 その後、「ちょっと待っててね…。」その場にただ立つプロンジェと幻無から背を向け、 自分の部屋に大量にある本の中から、ある一冊の本を取り出す。 その本は…、陸や海、神話の世界と多くの場所の武器が纏められた本だった。 「トライデントという名前。海に関するということ…。  それなら、これに違いないでしょうね…。」 「それは?」 本を一冊取り出すなりページをめくっていき、それが載っているページをプロンジェに見せた………。 「━━━━━━トライデント…。それは、ポセイドンという名の兵器に搭載されている核弾頭…。」 「兵器…、核弾頭…。この世界では聞き慣れない単語ですね。  恐れ入りますが、それらは具体的に何のことを差すのですか?」 「兵器というのが…、戦う際に、武器に代わって使用される機械装置のこと…。  主に、敵対する相手や物を倒す際に使われるわ…。  もう1つの核弾頭というのは…、ミサイルや魚雷のことを差すわ…。  …あ、ミサイルも魚雷も、今のこの世界では聞かないかしら…?  どっちも、誘導させて攻撃する飛行装置よ…。魚雷の場合は水中ね…。」 「………。」 ………正直なところ、プロンジェは聞いたことのない言葉ばかりでさっぱりわからない。 ネクラの説明を聞いて、戸惑っているプロンジェにそれを勧めるように、幻無が笑いながら話す。 「これらは凄いよー!剣とか槍とか、そんなもの目じゃないよ!  なんせ機械じかけの武器!兵器!兵器いつあれば何もかも一網打尽さっ!  遠距離近距離、オマケに追跡式と幅も広いしね!」 「………はい?」 「君がそれを手にして何をしたいのかは知らないけど、  武器を手にして戦う身なら…、うん、もっておくといいよトライデント!  あ、トライデントはミサイルの名前だから…武器の名前はポセイドンだね!」 「武器………、兵器………。」 ………自分が単にそれのことを詳しく知らないだけなのだろう。おそらく、それゆえの困惑だ。 武器の詳しいと言っていたネクラや、それを手に入れたいと望む幻無を見て、 プロンジェは両腕を組んで、考え込み始めた。 考え込むプロンジェに、ネクラは更に話し掛ける。 「…なんだったら、私達が用意しましょうか?」 「機械や装置、そんなものがあなた方にご用意が出来るとでも…?」 「直接造るのは私達じゃないわよ…。私達はそれの完成図を描いて、  それをもとに、…設計に詳しい人に造ってもらうのよ…。」 「あぁ、成程。そういうことでしたか。これは失礼。」 ネクラに勧められると、プロンジェも聞き返してしまう。 「………では、一先ず完成図だけでも見せてくれませんか?そのうえで…。」 「もー、何そんなに悩んでるのさ。…ま、  知らないことばかりだから悩むのは仕方ないか…。  これがトライデント、そんでポセイドンで間違いないのに…。」 「…それが本当だとしても、判断はこちらが行うものですよ、幻無さん………。」 戸惑うも気になるということから。プロンジェは2人にそれを見せてくれるよう頼んだ。 それを見たうえで、自分が手に取るのかを考えるという方針を取った。 ━━━━━トライデントがやっと手に入る。しかし………。 ━━━━━そんなに凄いなら、手に入れるべきだろう。何を躊躇っている。 ━━━━━自分の知らない、見たこともない物をそう簡単に信用してもいいのか? ………プロンジェは、密かに迷っていた。 その数日後。プロンジェのもとにそれは確かに届いた。 そして、プロンジェは━━━━━。 それ以来、海の方で━━━━━。 Dパート完結。Eパートに続く。